このたび、「建築史学会賞」(第20回)を受賞しました。
奈良文化財研究所 平城宮跡資料館講堂で開催された授賞式へ参加しました。
対象となったのは2015年に出版した
『近世民家普請と資源保全』(中央公論美術出版)です。
本書の骨子は大学院修士論文に辿りますので、
既に15年前のスタートです。
東京から京都、神戸、仙台と職場環境が変わり続けて、
調査・執筆時間が少なかったこともあり、
ほぼ大学院生時代の着想を踏襲した内容。
それでも、
専門学会で評価頂けたのは、
リサイクルやメンテナンスといった
「建築を廃棄せずに使い続ける」という、
歴史研究でありながら、
現代に活かせる「伝統の知恵」を探るような視点が
評価されたからだと思います。
授賞理由では
「本業績は実際の民家普請に関する技術的な知識に裏打ちされていること、
それらの成果をもとに終章において
“耐久性を備えた町並みの成立”という結論を導き、
民家研究や歴史的町並み研究に
建築生産・建築経済、環境保護という
新たな視点を提起していることにおいても
建築史学に寄与する業績として高く評価される」
と報告いただきました。
これまで、
研究活動を支えて頂いた皆様に、
あらためて感謝申し上げます。