青森県弘前市で現在、
伝統的建造物群保存地区の見直し調査を進めているため、
東北各地の町並み保存地区を、
視察するようにしています。
各地をみてまわると、
伝統的建造物群保存地区という、
制度上の利点や課題とともに、
東北各地の武家町がさまざまな面で
異なる文化的な特徴を有することも気づかされます。
今回見学した秋田県の角館はまさに、
全国屈指の武家町として知られる伝建地区ですが、
上級の武士から足軽まで、
武家の様々な階層の住まいが
伝建地区をつくることが大きな特色。
上級武士の存在は良質な建築文化を伝えるだけでなく、
その広大な敷地が、
近代に公共施設へと転用される傾向もあり、
伝建地区内にいくつかの公共施設が所在し、
変化に富む町並みの表情をつくりだしていました。
逆に弘前の伝建地区は、
中下級武士が集住した町並み景観を伝える、
その均質で、いいかえれば近世的な、
敷地形態や住宅構成が、
かえって大きな特色であることを、
実感しました。
また
同じ伝建地区、武家町といっても、
観光化と住みよい住宅地形成とのバランス面では、
多様なアプローチがありうることも
あらためて考えています。